人と上手くコミュニケーションが取れなかったり、仕事の段取りをうまく作れなかったり、仕事での悩みは多いものです。
ましてや、思っていたようにうまく行かなかったということも多いですね。
それでは「その会社や仕事のハイパフォーマーがどんな人なのか」ということを考えて行きましょう。
それをもとに採用基準や評価基準、育成目標などが決まってくるからです。
もちろん会社ごとに違うのですが、それでも業界や職種を超えて共通するポイントもあります。
その中から仕事がデキる人の3つの特徴を見て行きましょう。
目次
1. 自己認知が高い
大切なことです。「自分のことがよくわかっている」、すなわち自己認知の高さです。
まれに無意識過剰系の天然タイプの天才のようなのハイパフォーマーもいますが、そんな人は少ないです。
自己認知はさまざまな能力のベースになる根本的なものです。
私たちは、自分の強みや弱みがわかっていなければ、伸ばすべきところがわからないため、学習能力や成長力が低くなりがちです。
また、自己認知が低いと自分のポジショニングも外してしまうために、チームプレイも苦手になっていきます。
他にも、好き嫌いなどの自分の思考のバイアスについての自己認知が低ければ、現実を歪めて認識してしまい感受性も低くなってしまいます。
ハイパフォーマーは謙虚
特に、自分の能力レベルについての自己認知はとても重要です。ダニング=クルーガー効果という悲しい心理バイアスがあります。
それによると能力が高い人ほど自己評価が低く、能力が低い人ほど自己評価が高いと言われています。
どうしてそうなるのかは諸説ありますが、「自分の能力や業績を過大評価する人は、評価する基準である『当たり前水準』が低い」のではないかというのが私の仮説です。
同じだけ努力しても『当たり前水準』が低い人は「自分はとても頑張った」と感じ、『当たり前水準』が高い人は「自分はまだまだだ」と感じるわけです。
水準が高い人がハイパフォーマーになるのは当然ですね。
2. 仕事を楽しめる人
もう1つは、「どんな仕事でも楽しめる」という意味づけ力の高さです。
ふつうの人であれば「つまらない」と感じてしまうようなことでさえ、自分なりに意味づけを行って、やる気を高めるために、結果としてどんな仕事であっても楽しめるということです。
楽しみながらやる仕事と、つまらないと思いながらやる仕事の成果の違いは言わなくても差がでますね。
有名なイソップ童話「3人のレンガ職人」でも、同じレンガ積みを「ただ、レンガを積んでいる」「壁を作っている」「大聖堂を建てている」と別々に目的を持っていましたが、目的が細かくイメージ出来ている人が最もハイパフォーマーであるというわけです。
変えようとする力(変革力)との関係には注意
ただし、少しだけ注意が必要なポイントがあります。それは、意味づけ力が高い人は、今自分がやっていることを根本から変えてしまう「変えようとする力」が低い場合があるということです。
何か問題が発生した場合、本来なら根本を変革しなければならないのにも関わらず、自分のできる範囲の仕事への対処だけにフォーカスしてしまう可能性があるからです。「どんな仕事でも楽しめる」=「どんな仕事も今のままでよしとする」ではいけません。
また、「仕事に不満を言う」=「ローパフォーマー」とは限りません。彼らはもしかすると変革者かもしれないからです。このあたりの見極めは大変難しいので注意しましょう。
3. ベーシック・トラスト
3つめの特徴は、「世界に共通する信頼感」、ベーシック・トラストです。ベーシックというのは個人や具体的なものによせる信頼ではなく、「人は信じるに足るべきものである」「努力はいつかは報われる」「未来は明るい」など、世の中全体、世界に対する信頼という意味で使われています。
アイデンティティの概念を提唱したエリクソンのライフサイクル理論において幼年期に獲得すべき発達課題。
つまり、幼いころに身に付いていると良い考えということですね。
ポジティブ思考や楽観性などとも近い概念かもしれません。ベーシック・トラストがあると、それが努力や挑戦、人間関係構築など、パフォーマンスを高めるのに好ましい行動につながっていきます。
根拠がないものは崩すことができない
しかも、このベーシック・トラストはある意味「根拠のない自信」ですので、並大抵のことでは崩すことはできません。
「自分は○○大学卒だから」などの「根拠のある自信」=「自尊心」は、隣にハーバード大学の方が来るとシュンとなるなど、すぐ崩れてしまいますが、ベーシック・トラストは大変なことがあっても「なんとかなるさ」と思えるということなので崩れません。
つまり、ストレス耐性もかなり高いということになります。ただ、「信じすぎる」ことはリスクを負いすぎることにもつながりますので、リスクヘッジをするような慎重さが必要な仕事には向いていない可能性もあります。
これらを採用時に使ってみる
さて、これら3つの特徴が入社後に育成可能かというと、知識やスキルというよりは、すべて考え方やスタンスという根本的なものです。
率直に申し上げると難しいのではないかと思います(もちろん個人差はあるでしょう)。
(自己認知)
「自分の特徴をどう認識していますか」
(意味づけ力)
「その仕事から学んだことは何ですか/どんなことが楽しかったですか」
(ベーシック・トラスト)
「自分は運がいいと思いますか/恵まれた環境にいたと思いますか」
など、質問してみてはいかがでしょうか。